■講座のポイント
E&L(Extractables/Leachables)は、容器施栓系や製造接触材料に由来する不純物であり、原薬・製剤の合成由来不純物(ICH Q3群)とは発生源が異なります。Extractablesは材料から「出しうる」化合物を、実使用を科学的に代表または上回る条件で抽出して把握するもの、Leachablesは実際の使用・保存条件で製剤やプロセス液へ「実際に移行する」化合物です。毒性・発がん・感作性のある化合物が微量でも長期投与で患者に影響し、また分解・凝集・力価低下といった製品品質への影響(特にバイオ医薬品で高感度)も生じるため、材料選定の段階からリスクに応じた評価と管理戦略が求められます。本講座(収録50分)では、E&Lの定義・重要性・対象(一次包装だけでなくシングルユースシステム=SUSも対象)・投与経路別のリスク(吸入OINDP・注射・眼科用が高リスク)と規制の位置づけから出発し、規制と閾値(ICH Q3E=2025年8月Step 2bドラフト、USP ///、PQRI推奨のSCT・QT、AETの算出と不確実性、ISO 10993-18、日局の枠組み)を整理します。続いて評価アプローチ(材料選定→リスク評価→抽出試験→浸出試験→毒性評価の全体フロー、Controlled Extraction Study、Leachables Study、非変異原性のTTC/PDEと変異原性のICH M7参照)、分析法(GC-MS・LC-MS/HRMS・ICP-MSの相補的組合せ、未知物質の同定と不確実性)を解説。最後にSUSのleachables(bDtBPP事例)、容器施栓系の設計・材料選択、よくある失敗(AET設定誤り・毒性評価の欠落)、申請・変更管理の留意点、ICH Q3E導入準備まで、実務目線で押さえます。
■受講後、習得できること
・Extractables/Leachablesの定義と違い、評価の狙いを説明できる
・E&Lの対象(容器施栓系・SUS・投与デバイス)と投与経路別リスクの理解
・ICH Q3E(2025 Step 2bドラフト)とUSP各チャプターの位置づけの把握
・PQRI閾値(SCT・QT)とAET(分析評価閾値)の考え方・算出の前提の理解
・抽出試験(Controlled Extraction Study)・浸出試験の設計と正当化
・毒性学的評価(非変異原=TTC/PDE/変異原=ICH M7の原則)の考え方
・GC-MS・LC-MS(HRMS)・ICP-MSの相補的な分析戦略と未知物質同定の難所
・SUSのleachables(bDtBPP)・材料選択・よくある失敗・申請/変更管理の留意点
■本テーマ関連法規・ガイドラインなど
・ICH Q3E『Guideline for Extractables and Leachables』(Draft・2025年8月1日 Step 2b)
・USP ////(OINDP)/(製造システム由来)
・PQRI推奨(OINDP:SCT 0.15 µg/day・QT 5 µg/day/非経口:SCT 1.5 µg/day/眼科用は個別評価)
・ISO 10993-18(医療機器の化学的特性評価・AET)/ICH M7(変異原性不純物)/ICH Q3D(元素不純物)
・日本薬局方 一般試験法(プラスチック製医薬品容器試験法・輸液用ゴム栓試験法)・参考情報「医薬品包装」/FDA Container Closure Systems/EMA プラスチック一次包装ガイドライン
■講演中のキーワード
・E&L/Extractables(抽出物)/Leachables(浸出物)
・容器施栓系/シングルユースシステム(SUS)/投与デバイス/コンビネーション製品
・投与経路別リスク(吸入・経鼻OINDP/注射・注入/眼科用/経口・外用)
・接触条件(温度・時間・溶媒/pH・表面積比)/滅菌法(γ線等)によるプロファイル変化
・ICH Q3E(2025-08-01 Step 2bドラフト・Step 4 adoption目標2027年7月)
・USP /(材料・システム要件)//(評価の考え方)
・PQRI閾値:SCT(安全性懸念閾値)/QT(適格性評価閾値)/眼科用は一律適用しない
・AET(分析評価閾値)/1日投与量・希釈/レスポンスファクター差/不確実性係数
・ISO 10993-18(医療機器の化学的特性評価)/ICH Q3D(元素不純物)
・E&L評価フロー(材料選定→リスク評価→抽出→浸出→毒性評価→管理戦略)
・Controlled Extraction Study(抽出条件の正当化・ワーストケース)
・Leachables Study(targeted+non-targeted・安定性検体・simulated leachable study)
・毒性学的評価(非変異原:TTC/PDE・許容曝露量)/変異原:ICH M7の原則・cohort of concern
・GC-MS・HS-GC-MS(揮発性/半揮発性)/LC-MS・LC-HRMS(非揮発性・高極性)
・ICP-MS(元素・金属/触媒残渣・充填剤・着色料由来)
・未知物質の同定(ライブラリ照合・MS/MS・NMR・標準品比較)と同定信頼度
・SUSのleachables/bDtBPP(リン系酸化防止剤の分解生成物)・細胞培養への影響
・材料選択・サプライヤ情報/よくある失敗(AET誤設定・毒性評価の欠落)/変更管理・申請資料
【監修】 株式会社イーコンプライアンス 代表取締役 村山 浩一
【主な略歴】
1986年4月
日本ディジタルイクイップメント株式会社(日本DEC) ソフトウェアサービス部 入社
GCP管理システム・症例データ管理システムの企画・開発担当(現ClinicalWorks/GCP/CDM)
改正GCP(J-GCP)に対応した標準業務手順書作成コンサルティング
製薬業界におけるドキュメント管理システム導入コンサルティング
1988年にATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所:京都府精華町)でニューラルネットの研究に携わる(研究補助員)
1999年2月
日本アイ・ビー・エム株式会社 コンサルティング事業部 入社
NYのTWG(The Wilkerson Group)で製薬業界に特化したコンサルタントとして研修
製薬企業におけるプロセス リエンジニアリング担当
Computerized System Validation(CSV)、21 CFR Part11 コンサルティング
2001年7月
IBM認定主幹コンサルタント
アイビーエム・ビジネスコンサルティングサービス株式会社へ出向
マネージング・コンサルタント
2004年7月
日本アイ・ビー・エム株式会社 退社
2004年8月
株式会社イーコンプライアンス設立 現在に至る。
詳しい経歴はこちら
村山浩一は、長年にわたり製薬・医療機器産業のコンプライアンス支援に携わり、500社以上の企業を支援してきた実績を持ちます。医薬品のE&L(抽出物・浸出物)の分野では、ExtractablesとLeachablesの区別から、容器施栓系・シングルユースシステム(SUS)・投与デバイスを対象としたリスクベース評価、ICH Q3E(2025 Step 2bドラフト)・USP //・PQRI閾値(SCT/QT)・AETの設定、Controlled Extraction Study/Leachables Studyの設計と正当化、毒性学的評価(TTC/PDE・ICH M7)、GC-MS/LC-HRMS/ICP-MSによる相補的分析と未知物質同定、SUSのbDtBPP事例、材料選択・変更管理・申請資料の作り込みまで横断的に支援しています。「検出→同定→定量→毒性評価→管理」の各段の抜けを防ぐ実務的な解説に定評があります。
【関連の活動など】
- 日本PDA 第9回年会併催シンポジウム 21 CFR Part 11その現状と展望
- 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会主催(東京)
- 東京大学大学院医学系研究科 臨床試験データ管理学講座などにて多数講演。など
■第1章 E&Lの全体像
・E&Lとは(Extractables/Leachables)/なぜ重要か/E&Lの対象(容器施栓系・SUS)
・どの製品でリスクが高いか(投与経路・接触条件・材料)/規制の位置づけ
■第2章 規制と閾値
・ICH Q3E(E&Lガイドライン・2025 Step 2bドラフト)/USPの主なチャプター
・安全性の閾値(PQRI:SCT・QT)/AET(分析評価閾値)の考え方
・医療機器:ISO 10993-18/日本の枠組み(日本薬局方)
■第3章 評価アプローチ
・E&L評価の全体フロー/リスクアセスメント
・Controlled Extraction Study(抽出試験)/Leachables Study(浸出試験)/毒性学的評価
■第4章 分析法
・分析戦略の全体像/GC-MS(揮発性・半揮発性)/LC-MS(非揮発性・難揮発性)
・ICP-MS(元素・金属)/未知物質の同定と不確実性
■第5章 実務・トラブルと最新動向
・シングルユースシステム(SUS)のleachables(bDtBPP)/容器施栓系の設計・材料選択
・よくある失敗/承認申請・変更管理での留意点/ICH Q3E導入に向けた準備
■第6章 実務と総括
・実務の勘所(リスクベース・先回り・安全性)/最新動向
・総まとめ ― 要点と次のアクション