Description

本講座(収録60分)は、製造・品質保証・薬事・臨床開発の各層に向けて、「誤読されない書き方」という一点を軸に、規制文書のための日本語を体系的に整理する入門講座です。手順書・記録・逸脱報告・照会回答は、読み手が判断し、操作し、報告するための指示であり、読み違えられる文はそれ自体が品質上の欠陥になります。悪い例と良い例を並べる形ではなく、「なぜそう読めてしまうのか」を日本語の構造から説明し、そのうえで直し方を示します。まずGMP省令 第8条第1項が17種類の手順の一つとして「文書及び記録の作成、改訂及び保管に関する手順」を名指しし、第20条第1項が承認・配付・保管、日付と改訂履歴、保管期間を定めていることを確認し、誤読がどこで事故になるか、「読みやすさ」と「誤読されないこと」が別であること、読み手には作業者・照査者・後から読む人の3人がいることを押さえます。第2章では主語の消失、修飾語の掛かり先、受動表現で消える行為者と責任、否定と条件の重なり、「の」「で」「より」が担う関係、読点で変わる切れ目、一文の長さという読み違えの型を扱い、書き直しの手順を示します。第3章では一貫性を同一性の担保として扱い、用語集と略語、有効桁と丸め、単位、「以上・以下・未満・超える」の境界、日付・時刻・ロット番号・版の書式を整理します。第4章では法令・公的指針・規格・国際調和・社内規程の層を分け、昭和27年の通知が令和4年1月11日付けで廃止され読点は「、」が原則になったこと、JIS Z 8301・Z 8401 の位置づけ、ICH M11 による文書構造の標準化、AIに書かせた文章の検証観点を扱い、第5章で手順書・逸脱報告・照会回答それぞれの勘どころを解説します。
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講座のポイント
手順書・記録・逸脱報告・照会回答は、読み手が判断し、操作し、報告するための指示です。読み違えられる文は、それ自体が品質上の欠陥になります。そしてGMP省令第8条第1項が求める17種類の手順の中に、「文書及び記録の作成、改訂及び保管に関する手順」が名指しで置かれています。文書の書き方は、すでに手順の対象です。
本講座(収録60分)は作文の練習ではありません。「なぜそう読めてしまうのか」を日本語の構造から説明します。
手順書に「洗浄後、乾燥させ、次の作業に移る」とあれば、作業者は自然乾燥で次工程へ進みます。乾燥の方法も温度も時間も完了の判断基準も書かれていないからです。作業者は手順書に従っています。原因は書き手の側にあります。
読み手は3人います。作業者、照査者、そして後から読む人です。作業者と照査者はその場で聞き返せます。後から読む人は聞き返せません。文書の書き方は、この3人目のために決まる部分が大きいのです。
そして「読みやすさ」と「誤読されないこと」は別です。読みやすさは「まとめる」方向へ、誤読の防止は「分ける」方向へ働きます。規制文書では、読み手の負担が少し増えても、解釈が一つに定まる側を選びます。
一貫性も同じです。文章読本では同語反復を避けることが勧められますが、記録では逆になります。同じ設備が「充填機」「充填装置」「フィラー」と書き分けられていると、読み手はそれが同じものか判断できません。言い換えは、文章では美点でも記録では欠陥です。
収録内容
■第1章 なぜ規制文書の日本語が問題になるのか
・手順書は「読み物」ではなく「指示」である
・規制は文書の作成・改訂・保管を手順の対象にしている(GMP省令 第8条第1項・第20条第1項)
・誤読はどこで事故になるか/「読みやすさ」と「誤読されないこと」は別である
・読み手は3人いる/ケース:手順書のとおりにやったのに逸脱になった
■第2章 日本語の構造が生む読み違え
・主語が消える ― 誰がやるのかが書かれていない/修飾語がどこに掛かるか分からない
・受動表現 ― 行為者が消え、責任が消える/否定と条件が重なると読めなくなる
・「の」「で」「より」でつながれた句/接続詞と読点で切る/一文の長さ ― どこで切るか
・ケース:逸脱報告が「何が起きたか」を伝えない/書き直しの手順
■第3章 一貫性 ― 同じものを同じ語で書く
・一貫性は同一性の問題/用語集と略語 ― 最初に定義し、途中で変えない
・数値と単位 ― 桁・丸め・範囲の書き方/「以上・以下・未満・超える」の境界
・日付・時刻・ロット番号の書式/ケース:記録が突合できない
■第4章 表記の基準 ― 何に従って書くのか
・何に従って書くのか(法令・公的指針・規格・国際調和・社内規程)
・【最新】公用文の基準は令和4年に置き換わった/【最新】読点は「、」が原則になった
・括弧・単位の符号・一文・受身/JIS が定めているもの(Z 8301・Z 8401)
・【最新】文書の構造そのものが標準化されつつある(ICH M11)
・社内の表記規程をどう作るか/AI に書かせた文章をどう検証するか
■第5章 文書の種類ごとの勘どころ
・手順書 ― 動作を1文に1つ/逸脱報告 ― 事実と評価を分ける
・照会回答 ― 問いに答えてから説明する/やってはいけない書き方
■第6章 まとめ
・本教材のまとめ(第1〜5章の要点)/参考文献・出典一覧
受講後、習得できること
・GMP省令第8条第1項の17種類の手順に「文書及び記録の作成、改訂及び保管」が含まれることを説明できる
・第20条第1項の承認・配付、日付と改訂の履歴、保管期間の要求を整理できる
・保管期間の起算点が記録と手順書等で異なることを説明できる
・読み手を作業者・照査者・後から読む人に分けて文書を設計できる
・読みやすさと誤読の防止が逆を向く場面で、解釈が定まる側を選べる
・省略された主語を書き足し、行為者を明示できる
・修飾語の掛かり先が2通りに読める文を見つけて直せる
・受動表現で行為者と責任が消える箇所を能動に戻せる
・否定の重なりを肯定+ただし書きに書き換えられる
・「の」「で」「より」が担う関係を書き分けられる
・読点の位置で意味が変わる箇所を確定させられる
・条件と動作の境目、主体が変わる箇所で一文を切れる
・主語→動詞の数→修飾語→否定→条件→用語の順で書き直せる
・語・表記・略語の3つのゆれを区別して統一できる
・有効桁・丸め方・単位・範囲の書式を先に決められる
・「以上・以下・未満・超える」の境界の含む/含まないを書き分けられる
・昭和27年の通知が令和4年1月11日付けで廃止されたことを踏まえて社内規程を点検できる
・読点は「、」が原則で横書きは「,」も可、ただし一文書内で統一と正しく引用できる
・JIS Z 8301 が「規格票」の様式であり社内手順書を拘束しないと判断できる
・ICH M11 が見出しと用語の標準化へ向かう動きであることを説明できる
・生成AIの出力を、主語の補完・用語の言い換え・数値の欠落の観点で検証できる
・手順書・逸脱報告・照会回答で書き方の重心が変わることを説明できる
本テーマ関連法規・ガイドラインなど
・医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日 厚生労働省令第179号)第8条第1項(17種類の手順/「文書及び記録の作成、改訂及び保管に関する手順」)・同条第2項(「手順書等」の定義)・第20条第1項第1号〜第3号(文書及び記録の管理)
・公用文作成の考え方(令和4年1月7日 文化審議会建議)/「基本的な考え方」「Ⅰ 表記の原則」「Ⅱ 用語の使い方」「Ⅲ 伝わる公用文のために」の4部構成
・「公用文作成の考え方」の周知について(令和4年1月11日 内閣文第1号 内閣官房長官通知)/「公用文改善の趣旨徹底について」(昭和27年4月4日 内閣閣甲第16号 内閣官房長官依命通知)は同日付けで廃止
・JIS Z 8301:2019 規格票の様式及び作成方法(発行 2019年7月22日/確認 2024年6月20日/有効)
・JIS Z 8401:2019 数値の丸め方(発行 2019年7月22日/確認 2024年10月21日/有効)
・ICH M11 Clinical Electronic Structured Harmonised Protocol(CeSHarP)/Step 4 到達 2025年11月19日/米国 Final Guidance 公表 2026年5月22日(ガイダンス本体・標準化テンプレート・技術仕様書の3文書)







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